空撮ドローンを製作しよう – ジンバルカメラの製作(3) –

 前々回にフリーのジンバルコントローラSTorM32BCGv1.3をベースに新たにボードを設計することにし、前回懸念事項であったSTorM32BCGv1.3のI2Cエラーについて対策方法を検討しました。検討の結果、ボードからIMUモジュールへの電源供給を5VにすることによりI2Cエラーを抑制できることが分かったので、今回はこのI2Cエラー対策を含めてジンバルコントローラを設計することにします。

ジンバルコントローラの仕様

 STorM32BCGv1.3の回路図およびボードレイアウト図はgithubサイトからgit clone あるいはzipファイルでダウンロードできます。git clone で生成(あるいはzipファイルの解凍)されたフォルダーstorm32bgc/old/storm32-bgc/の中のstorm32-bgc-v130-eagle-gerber-files-20140322.zipに制御ファームウェア、回路図データおよびボードレイアウト図データが入っています。これらはEagleというCADソフトのデータ形式となっています。フリー版のEagleは以下のサイトからダウンロードできます。

Eagle Download – CADSoft USA

 ダウンロードしたv1.30とAliexpressから購入したGimbal kitのv1.32とはモータドライバーが異なります。v1.30ではMicrochipのTC4452というドライバーを9個使用していますが、v1.32ではTI社のDRV8313を3個使用しています。

v1.32のCADデータはSTorM32BCGのダウンロードサイトにはありませんが、おそらくモータドライバー以外はv1.30と同じパーツを使っているものと推測されます。STorM32BCGv1.30を参考にし、モータドライブICをDRV8313に変更して新たに回路図を設計します。ジンバルコントローラボード設計にあたり以下の項目を仕様として設定しました。

  • 基板サイズはSTorM32BCGv1.32(5mm×5mm)よりもできる限り小さくする。
  • PCB基板は自作が可能な表・裏2面(2層)の基板を用いる。従って、信号配線と電源配線を同じ層に形成する。
  • FirmwareはSTorM32BCGv1.30と同じものを使用するため、MPU(STM32F103RC)の入出力端子の機能設定はSTorM32BCGv1.30と同じとする。
  • 外部インターフェースは基本的にSTorM32BCGv1.30と同じにするが、小型化のためドローン用ジンバルカメラに必要のないものは削除する。
  • IMUモジュールへの電源供給は+5Vとする。その他の外部インターフェースの電源は+5Vに統一する。

 PCB CADについては上記のEagle v7.5.0を用いました。私はこのCADを20年以上前から使用しています。使い慣れているので電子工作には欠かせないCADとなっています。

ジンバルコントローラボードの回路設計

 設計した回路図は以下の通りです。A3サイズのフレーム内に全回路を記述しました。

ボードの小型化のためいくつかの外部インターフェースポートやパーツ等を変更しました。STorM32BCGv1.30からの変更点は以下の通りです。

  • 外部インターフェース用のポートとしてジンバル機能に必要ないAUXポート、使用しないIMU2、IR、Bluetoothもコントローラボードから削除しました。POTポートはPOT0、POT1を残し、POT2は削除しました。
  • 外部インターフェース用の2.54mmピッチのスルーホール(ピンヘッダー取り付け穴)は、占有面積が大きいのでI2C用コネクタと同じJST社 SHコネクタ(1mmピンピッチ)に変更しました。
  • モータ接続端子の2.54mmピッチスルーホールをJST社 PHコネクタ(2mmピンピッチ)に変更しました。
  • USBminiBコネクタはSHコネクタに変更しました。PCとUSB接続する場合には、市販のUSB-SHコネクタ変換基板を用います。
  • モータドライブICにはTI社のDRV8313RHH(VQFNパッケージ)を用いました。ちなみにSTorM32BCGv1.32ボードのモータドライブICはDRV8313PWP(TSSOPパッケージ)です。今回はサイズの小さいVQFNパッケージ版を使用しました。
  • チップ抵抗やチップコンデンサについては1608(0603)サイズのものと配線の引き回しや部品の配置の厳しい場所には1005(0402)サイズのものを用いました。
  • IMUに供給する+5V電源はスイッチング(ステップダウン)レギュレータを用いバッテリー電圧を降圧して生成します。さらに定電圧リニアレギュレータを用いて+5V電源からMPUおよび水晶発振器用の+3.3V電源を生成します。
  • バッテリ電源入力部のMOSスイッチはショットキーダイオードに変更しました。
  • USBバス電源(+5V)はショットキーダイオードを通して+5V電源に接続しました。

ジンバルコントローラボードのレイアウト設計

 上記の回路図をもとに設計したボードレイアウトを以下に示します。赤色がTopレイヤー(部品配置面)で、青色がBottomレイヤー(裏面)です。

ジンバルコントロール基板のレイアウト図(部品配置面(赤)と裏面(青)

 ボードサイズは幅4mm、高さ5.4mmとなりました。今回は自作でコントロール基板を作製することにしたので、信号線、電源線、GNDのTopレイヤーとBottomレイヤー間の接続はスルーホール(単なるホール)に0.3mm径の錫メッキ線を通して行います。このため緑色のスルーホールパッドは自動設定される径よりも大きめに設定しています。錫メッキ線で両面を接続すると各表面に凸部ができるので、部品を配置する部分から避けてスルーホールを配置しています。GND部分にはできるだけインピーダンスを下げるため多めにスルーホールを配置しています。
 例外としてモータドライブICのDRV8313RHH 3個の部品面に少し大きめのスルーホールを配置しています。DRV8313RHHは放熱のためパッケージ底に金属プレートがはめ込まれており、部品実装時に金属プレートをTopレイヤーに半田付けをする必要があります。Bottomレイヤーから半田ごてで加熱してもスルーホール側面にメタルがないためTop面に熱が伝わりにくく金属プレートとTopレイヤーが接続できません。このため、スルーホール(単なるホール)を空け、この穴に半田ペーストを流し込み、穴に半田ごてを当てて加熱することでパッケージの金属プレートとTopレイヤーを接続できるようにしています。
 尚、錫メッキ線でTopレイヤーとBottomレイヤーを接続するため、一般的な基板設計と異なりスルーホールの両レイヤー面に半田レジストSTOPを配置しています。基板メータに発注できるよう修正して後日公開したいと思います。

 次回は今回設定したCADデータをもとにジンバルコントロールボード作製を紹介します。

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Posted by dronedroid-masa