100g未満FPVドローンの設計 – パーツ選定(1)
今回は100g未満FPVドローンの部品選定を行いたいと思います。概略仕様に基づく必要なパーツは、フレーム+下記の電子部品構成+実装用パーツ(バッテリーケース、フライトコントローラカバー、プロペラガード等)となります。電子部品構成図の下に部品リストを示します。

| No. | パーツ名 | 概要 |
|---|---|---|
| 1 | カーボンファイバフレーム | 3インチプロペラ用 |
| 2 | フライトコントローラ | ESC(Electrical Speed Controller)と一体型 オールインワン(AIO)タイプ |
| 3 | RC受信機 | 小型、軽量モジュール |
| 4 | コンパス搭載GPSモジュール | 小型、軽量モジュール |
| 5 | FPVカメラ | 小型、軽量 |
| 6 | 5.8GHzビデオトランスミッター | 小型、軽量、ローパワー、総務省への無線局開局申請のための系統図が入手できるもの |
| 7 | テレメトリモジュール | 地上局との交信に必要。小型、ローパワー、長距離(1Km程度)交信可能 |
| 8 | 小型オプティカルフローセンサモジュール | 小型、軽量、ローパワー |
| 9 | 小型ブラシレスモータ 4個 | 小型、軽量、6000kv~8000kv |
| 10 | 3インチプロペラ 4枚 | 軽量、高強度 |
| 11 | バッテリー | 2セル(7.4V)バッテリー |
| 12 | フライトコントローラカバー、GPS設置台 | 3Dプリンターにより作製 |
| 13 | バッテリーケース | 3Dプリンターにより作製 |
| 14 | プロペラガード 4個 | 3Dプリンターにより作製 |
以下にそれぞれの部品についての選定結果を記載します。
カーボンファイバーフレーム
フレームには、それぞれのサイズに応じた強度を有することと軽量であることが求められます。最近では2インチ、2.5インチサイズのTinyWoopドローンのフレームはほとんどがプラスチックの成形品となっており、3インチ以上のサイズではカーボンファイバーフレームが主流です。YouTubeなどではカーボンファイバープレートをCNCで切り出してフレームを作製している例も見られます。実は、私も3mm厚のカーボンファイバープレートと小型CNCで作製を試みましたが、軽量化と加工品質の点で思うようなものできなかったため諦めました。また、3Dプリンターで作製することも可能ですが、強度の点で心配でしたので市販のカーボンファイバーフレームを使用することにしました。最近、3Dプリンターのフィラメント材料として高強度な材料PETG-CFを用いたものが出てきているので、3Dプリンターでフレームを作製することができるかもしれません。
結局、使用した市販のカーボンファイバーフレームは、インターフェース2022年4月号と同じ3インチプロペラ用のHappy Model Crux3 carbon frameにしました。このフレームは、厚さ3mm、対向モータ間の距離が115cmのTrue-X形状のフレームです。重さは5.8gです。

フライトコントローラ
フライトコントロールソフトArdupilotは、 STMicroのMPU STM32F,Hシリーズで1MB以上のフラッシュメモリおよび192kB以上のSRAMを有するMPUが必須となります。現状、Ardupilotをインストールできる代表的なMPUは、STM32F405RG(OG) プロセッサ(1MB Flash, 192kB SRAM)、STM32F745VG プロセッサ(1MB Flash, 340kB SRAM), STM32H743VIプロセッサ(2MB Flash, 512kB SRAM)をとなります。但し、STM23F405RG およびSTM32F745VG プロセッサはFlash容量が1MBのため、デフォルトでは使用可能なセンサ等に制約があり、制御スクリプト等は使用できない場合があります。
100g未満のFPVドローンを実現には、重量制限によりオールインワン(AIO)タイプのフライトコントローラが必須となります。すなわち、上記MPUの他にドローン制御に無くてはならないIMU(ジャイロ・加速度)チップ、バロメータチップ、ESCコントローラ、モータドライバー、複数電圧電源回路などが同一基板上に実装されたフライトコントローラです。
Ardupilotを使用する上で、フライトコントローラのI/O端子数にも制約があります。今回のドローンでは上記部品表のNo.3,4,6,7,8のセンサー類およびビデオトランスミッターに対し、UART(シリアル)端子としてRX(受信),TX(送信)それぞれ5端子、I2C端子(コンパス用)のデータ(SDA)およびクロック(SCL)ペア1端子が基板上のパッドに取り出されている必要があります。
以上の制約を考慮し、価格とESCの電流容量を加味して、フライトコントローラとしてSTM32F405OGが搭載されたFlywoo GOKU GN 405S 20A AIO(2025年9月時点では20Aバージョンは廃盤?、40AバージョンのFlywoo GOKU GN 405S 40A AIOが入手可能、重量は20Aバージョンと同じ)を採用しました。本フライトコントローラのモータ最大電流容量は20Aで重さは8.5gです。100g未満のFPVドローンには十分な電流容量です。上記の記載のようにSTM32F405OG MPUはAudupilotのデフォルト設定ではオプティカルフローデバイスを使用することができないので、カスタム化してインストールすることになります。カスタム化についてはAudupilotのインストール編で説明します。


RC受信機
RC受信機には実績のある国内メーカの双葉電子工業製のものを採用することとし、送信機(T-10J)とセットで比較的低価格で販売されていた双葉製受信機の最小サイズのR2000SBMを購入しました。この受信機はフライトコントローラのUART(RX端子)に接続して、送信機からの8チャネルのRC制御信号をS.BUSプロトコルでフライトコントローラに送ります。無線の方式はS-FHSS 2.4GHzです。尚、T-10J送信機は10チャネルの信号を送ることができます。

No.4以降のパーツについては次回に記載します。





